２０数年前、営業部に所属して始めにやったことが、デパートやスーパーでの試食宣伝でした。

そうですね、のべ１００店舗ほどは回ったでしょうか。

特にお客様に好評で爆発的に売れた商品が、「ドライカレーペースト」。

現場でご飯を炊き、ホットプレートを使ってドライカレーの実演を行います。

「これ、ご飯と炒めただけなの？」

「美味しい！」

「お弁当に良いわね」

と驚きと絶賛の声。

はたまた、

「家ではカレー粉から作るんだけど、どうしても粉っぽくなってしまって、うまくいかないのよ。。」

というようなお声も。

１００店舗も回っていれば、色々なこともありますが、

今でも忘れない、特に思い出深いエピソードを２つほど。

とあるデパートで実演販売していた時のこと。

お孫さんをベビーカーに乗せて、お買い物に来られていた方に試食をお勧めしました。

「商品のご紹介です。お味を見ていただくだけで結構ですから、召し上がっていただけませんか？」

その方からまず一口。

「えっ！？」という顔をされています。

「孫に食べさせてみたいので、もう一ついただけますか？」

食べることを嫌がっていたお孫さんをなだめ、お孫さんも一口。

「美味しい、おかわり！」

結局、そのお孫さんは３食分の試食を美味しそうにパクパクと口に運びました。

「実は、孫が食べることに興味が無くて、何を食べさせても、食べてくれなくて困っていたんです・・・」

「だから、今ほんとうに驚いていて。こんなに嬉しいことはありません」

と、ドライカレーペーストをケースでご購入されていきました。

もう一つは、とあるスーパーでのこと。

買い物カートを押しながらこちらに向かってくる方に、試食をお勧めしました。

「買わなくても良いなら、食べるけど」

「もちろん、商品のご紹介ですから」

その方は、試食をされ、そのままカートを押して別の売場に行かれました。

しばらくすると、その方が戻って来られ

「あなたが言うほど、美味しくはないけど、これ買っていくわ」

とドライカレーペースト４個をカートに入れていきました。

「ありがとうございます！」

そして、またしばらくすると、その方が再度戻って来られ、

「あなたが言うほど、そんなに良い商品だとは思わないけど、追加で買っていくわ」

とドライカレーペースト６個をカートに入れ、そのままレジに並ばれました。

この２つの出来事は、私にさらなる自信とパワーをもたらせてくれ、この商品の魅力を客観的に教えてくれた貴重な機会でありました。

今でも決して忘れることのない、印象に残る良き思い出です。

Text:Riki