- 社長雑談
- 2016.10.30
スパイスカフェ 独善的分析 プロローグ
レストランビジネスは、お客様の入店から退店までと考えられがちですが、実は入店前から始まっています。
メニュー、アルコール、サービス、会話、音、空間などを想像し、期待感とともに入店となります。
店へのアプローチ、立地や建物もはいりますが、完璧を目指せばコストが掛かります。
その場合、”ギャップ”という手もあります。
30数年前、コルカタに行った時、ランチに取引先から「アンバー」というレストランに連れて行かれました(今もあるようですが立地も違うようです)。
真昼の太陽の厳しい暑さと喧騒、ぬかるみだらけで臭う道路、壊れているビルが並ぶ中、薄汚れた倉庫のようなビルの前にターバンを巻いたシク教徒の門番がこれまた、古びたエレベーターに乗せてくれます。
果たして扉が開くと、外とは正反対のカーテンが閉まり、キャンドル照明で薄暗く、エアコンが効き、すごいサプライズ感(ギャップ)でした。
スパイスカフェ、立地は下町の古い、やや終わった商店街の脇道。
看板から玄関まで、暖色のフットライトに導かれます。
ということは、夜の帳が下りてからの来店がいいでしょう。
木製の玄関ドアを開けると、オーナー夫妻のお出迎えと昭和レトロの木の空間。
テーブルの上にはナイフレストにシルバー、箸置きと箸、そして舌代パンフレット。
ここに、伊藤さんの料理の思いと今日の挑戦について書かれていました。
メニューは、ペアリングワインと中国茶がトレーシングペーパーに印刷され、メニューに被せると、そのペアがわかるデザイン。
初めてスパイスカフェを訪れてからここまでを振り返り、伊藤さんのここまでの進化と追いかけてきたもの、それが未だ通過点であることと勝手に理解しました。
オーナーシェフであり、しかも趣味で無く、生きる糧、ビジネスとしてのレストラン。
財務、マンパワーなどいろいろな葛藤の中、味覚だけでなく、”五感すべてをプロデュース=伊藤一城らしさ”の表現への精神が伝わってきて、いよいよメニューへ。
こちらも高ぶってきます。